(2024.6.15 記)
そろそろWindows10のサポートが終了しますね。
Windows11のPCクローニング需要が増えてきているので、勉強がてら応答ファイルの作成を試みた内容になります。
結論からして、基本的にWindows10の応答ファイルの作成方法と変わりませんが、若干異なるポイントがあります。
ここでは差異について蛇足になるので触れませんが、気になる方がいたら個々で比較してみてください。(特殊な設定を入れない限り、差異がないため。)
(全行程の所要時間:約1時間)
応答ファイルとは
応答ファイルは、Windowsセットアップ中に使用する設定の定義と値を含むXMLベースのファイルです。 応答ファイルでは、さまざまなセットアップ オプションを指定します。 これらのオプションには、ディスクをパーティション分割する方法、インストールする Windows イメージを検索する場所、適用するプロダクト キーが含まれます。 ユーザー アカウントの名前、画面の設定など、Windows のインストールに適用する値も指定することができます。
Microsoft
雑にまとめると、コピーするOSの初期設定ファイルのことです。
PC名やユーザID、キーボードの種類をはじめ、多岐にわたってPC初期設定時の内容を事前に設定でき、クローニングに役立ちます。
手順1.事前準備
「WindowsADK」という、Microsoft公式が出している応答ファイル作成ツールキットがあるので、その入手とインストール方法となります。
既に入手、導入済みであれば、手順2へ飛ばしてください。
WindowsADKの入手
このリンクから入手できます。(Microsoft公式サイト)
※このリンクは掲載時期のものなので、リンクが古い場合は「WindowsADK」と検索するといいかもしれません
インストール方法などはリンク先に説明が書いてありますので省略します。
色々インストールの種類を聞かれたら、とりあえず「Deployment Tools」ってやつだけ入れておけばOK。
ちなみにWindows10時代のADKでも動作します。
Windows11のインストールディスクの入手
このリンクからISOファイルをダウンロードします。
手順2.データの抽出
丁寧に応答ファイルを作成するため、ひと手間加えます。
Windows11のインストールデータには、「Home」や「Pro」といったエディションがまとめてパッケージングされています。
この中から、作りたい応答ファイルのエディションのインストールデータを抽出するという作業を行います。
ここがWindows10の時と若干異なる部分です。
作業環境の作成
ISOファイルを開き、「install.wim」ファイルが格納されているディレクトリを開きます。
ファイル検索欄に「*.wim」と入れて検索すると楽です。↓
任意の場所に作業用フォルダを作成し、「install.wim」ファイルをコピーして持ってきます。
ここでは「WSIM23H2」(任意のフォルダ名)というフォルダをデスクトップ上に作成し、そこに対象データをコピーしてきています。↓
対象エディションのインデックス確認と抽出
下図ディレクトリパス欄に「cmd」と入力すると、対象ディレクトリにカーソルが当たった状態でコマンドプロンプトを開くことができます。(ライフハック)↓
以下のコマンドを実行し、エディションインデックス番号一覧を表示します。↓
dism /get-wiminfo /wimfile:install.wim
各エディションにどのインデックス番号が振られているか表示されます。↓
例えば今回は「Pro」エディションで説明するので、その場合は「3」が対象インデックス番号となります。
次に、以下のコマンドを実行し、対象エディションのインストールデータを抽出します。↓
dism /export-image /sourceImageFile:install.wim /sourceindex:[前述のインデックス番号] /destinationimagefile:install_win11pro.wim /compress:max /checkintegrity
[前述のインデックス番号]には、インデックス番号の数字が入ります(括弧は入力しない)。
例えば「Pro」エディションを抽出するのであれば、[前述のインデックス番号]の値は「3」となります。
入力すると、このような画面になります。↓
手順3.応答ファイルの作成
いよいよ今回のメイン、応答ファイルの作成手順に入っていきます。
テクニカルなところは仕事が減ってしまうので触れません。
ただ今回は、とりあえずこれだけ設定しておけば使えるよ!という内容だけ伝えておきます。
インストールデータの取込
手順1でインストールしたADKを起動し、手順2で作成したインストールデータを取り込ませます。↓
対象データを選択すると、以下のような警告が出ますが、[はい]で無視します。↓
※初回はカタログファイルがそもそも存在しないので、必ずこの警告が出ます
取込中の画面です。↓
以下、取込後の結果になります。↓
左下ペインに取り込んだデータが表示されているのがわかると思います。
応答ファイルの作成
応答ファイルを作成(設定)していきます。
[ファイル]>[新しい応答ファイル]とすることで、中央ペインに応答ファイルの設定値の入れ物が作成されます。
左下ペインにある「WindowsイメージのComponents」>[amd64-Microsoft-Windows-International-Core-WinPE]>[SetupUILanguage]を選択して右クリック→[パス1 Windows PEに設定を追加]メニューをクリックします。
下図のようになります。↓
次に、右ペインの設定値を、以下のように設定します。↓
OSの言語設定というニュアンスです。
「InputLocale」には対応する言語配列を入れます。
日本語だと以下になります。
0411:{03B5835F-F03C-411B-9CE2-AA23E1171E36}{A76C93D9-5523-4E90-AAFA-4DB112F9AC76}
以下参考値。↓
「LayeredDriver」にはキーボード言語値を入れます。
日本語は「6」です。
以下参考値。↓
他の設定値には、日本語を表す「ja-JP」を入力しています。
次に、左下ペインにあるWindowsイメージのComponentsより、[amd64-Microsoft-Windows-PnpSysprep]を選択して右クリック、[パス3 generalizeに設定を追加]メニューをクリックします。
その後、右ペインの設定値を以下のように設定します。↓
設定値を全て「true」にしています。
「マスタ作成時、一般化するときにアプリやデバイスのインストール設定値を保持してくれる」、みたいなニュアンスです。
次に、左下ペインにあるWindowsイメージのComponentsより、[amd64-Microsoft-Windows-Shell-Setup]を選択して右クリック、[パス4 specializeに設定を追加]メニューをクリックします。
その後、右ペインの設定値を以下のように設定します。↓
プロファイルの情報を保持するかどうかというニュアンスです。
次に、左下ペインにあるWindowsイメージのComponentsより、[amd64-Microsoft-Windows-International-Core]を選択して右クリック、[パス7 oobeSystemに設定を追加]メニューをクリックします。
その後、右ペインの設定値を以下のように設定します。↓
設定値は「1 WindowsPE」の設定値と同値となります。
こちらは自動インストール時のOS言語設定というニュアンスです。
更に、左下ペインにあるWindowsイメージのComponentsより、[amd64-Microsoft-Windows-Shell-Setup]を選択して右クリック、[パス7 oobeSystemに設定を追加]メニューをクリックします。
その後、右ペインの設定値を以下のように設定します。↓
自動インストール時のユーザ設定と、タイムゾーン設定を入れています。
更に、階層を下がっていき、次の設定値を入れます↓
OS開封時のめんどくさい初期設定を飛ばす、みたいな設定を入れています。
設定は以上ですが、この階層を見てもらうと、「AutoLogin」とか「Password」という文字が見えますよね。
ここで細かなユーザプロファイルの初期設定が行えたりします。
例えばこんな感じ。↓
その他にも、細かな設定値の説明はMicrosoft公式ページに記載してありますので、個々で検索してもらうと理解が広まると思います。
応答ファイルの保存
設定していない項目がある状態で保存すると、一般化の時にエラーが出ます。
ですので、設定していない項目を消していく作業を行います。
下図のように中央ペインの■を見てもらうとわかりますが、設定値が入っている項目は濃い■、入っていない項目は薄い□になっています。↓
この薄い□の項目を「Delete」キーで消していきます。
最終的にこのようになります。↓
階層がある項目もあるので、そのあたり注意してください。
次に、[ツール]-[応答ファイルの検証]メニューをクリックし、応答ファイルにエラー等がないか検証します。↓
あ、SkipOOBE設定はWindows11では無効なのね・・・(これはエラーではないのでスルー)
エラーがなければ、[ファイル]-[応答ファイルを保存]メニューをクリックし、応答ファイルを保存します。
作業は以上。
最後に
ここで作成した応答ファイルのXMLデータを、sysprepの一般化の時に読込ませることで、クローン展開が非常に楽になるという寸法です。
ここでは大まかな流れを説明してきましたが、正直この設定値だけでも十分効果的です。
企業案件や細かな仕様によっては、この応答ファイルを駆使することで、クローン展開効率化UPなどに繋がります。
これで食べている人(私とか…)もいるので、細かな設定については、ここではそこまで触れないようにしているので悪しからず。
もし、知見を深め、仕事にしたいのであれば、色々実験してみると良いでしょう。
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